「お盆」ってな〜に?
お盆の由来
 お盆は正しくは盂蘭盆(うらぼん)といいます。その由来は今からおよそ2500年前のインドに遡ります。仏教を開かれたお釈迦様の弟子に目連尊者(もくれんそんじゃ)という方がいらっしゃいました。ある日、神通力を持つ目連尊者が亡き父母の恩に報いようとあの世でのお暮らし振りを覗いてみたところ、お母様がウランバーナ(逆さ吊り)の苦しみを受けていることが分かりました。驚いた目連尊者は何とかして母親を助けたいとお釈迦様に相談しました。
するとお釈迦様は
「あなたの母親はあなたを愛するあまり、他人に対して冷たい態度を取ることが少なからずあった。その為に今あの世でウランバーナの苦しみを受けているのです。母親を救いたいのならば、僧侶が一堂に会す夏安居(げあんご:僧侶は夏の間、暑さや雨を避け屋内で修行した)の最後の日に供養の法要をしていただきなさい。そうすれば母親は救われるでしょう。」
とおっしゃいました。尊者がこの教えを実行すると母親は苦しみから救われたと言われております。このウランバーナという言葉の音に漢字をあてたものが盂蘭盆というわけです。

盂蘭盆のこころ
 実は私たちも日頃この「逆さ吊り」を連想させる苦しみを受けているのお気づきでしょうか。私たちの苦しみの多くは物事をあべこべにしてしまうことから起こります。「恩は石に刻み 怨みは水に流せ」と心の中では分かっていても、ついうっかりと恩を水に流し、怨みを石に刻んでしまいます。やらなければいけないことをしないで、してはいけないことに励んでいます。逆立ちをしているのに自分がまともに立っていると思っていますから、いつまでたっても苦しみから離れられないのです。 
 忙しい、忙しいの生活だけではいつまでたっても自分達が逆立ちしていることに気付きません。そこで自分のあり方を2,3日ゆっくり振り返り、ご先祖様に感謝をするというのがお盆の意義の一つなのです。 母の日、父の日、敬老の日、、、これらの日と同じように「ご先祖様の日」であるお盆にお花を差し上げ、家族で一つの卓を囲む。ぜひ、そのような心豊かな生活を送りましょう。

お盆の行事
お盆のお飾り
 まずお盆の月に入ったら仏壇と仏具の清掃から始めます。仏壇はご本尊とそれに守られたご先祖のお位牌をまつる大切なところです。なるべく家族全員で行いましょう。仏壇とは別に精霊棚をまつる場合はお位牌をそちらに移します。最近ではスペースの関係から一般の家庭では別個に精霊棚を作らず、仏壇の前に小机をおいて、お供えを置くところが多くなりました。その場合でも机の上に真菰(マコモ)のござを敷き、霊供膳の脇に、供養を受けることができない餓鬼や無縁仏のための、水の子(ミズノコ:お皿の上に蓮あるいは里芋の葉を敷き、賽の目切りの茄子・胡瓜・洗米を混ぜて盛る)や閼伽水(アカスイ:器に水を入れる)を供えます。また茄子で作った牛胡瓜の馬を飾り、ご先祖様がいらっしゃるときは馬に乗って早く我が家へ、帰るときは牛に乗ってごゆっくりお帰り下さい、という私たちの気持ちを表します。
※お盆の行事はそれぞれの地方の伝統と特色に根ざした独自のしきたりがある場合が多くみられます。

迎え盆
 十三日(あるいは十二日)
 迎え盆あるいは宵盆(ヨイボン)といってご先祖の御魂をお迎えする儀式からお盆行事が始まります。お墓が近いところでは夕刻、菩提寺とお墓にお参りし、お墓でロウソクの火を灯して線香をたき、この火を提灯に移して持ち帰ります。これはつまりご先祖の精霊を提灯の明かりで迷うことなく一緒に家まで導くという意味がこめられています。
 また場所によっては軒先などに吊した提灯に火を灯し、家の門口などで陶器のお皿などにおがら(麻の皮をはいだ茎)を折って積み重ね、提灯の火を移して迎え火を焚き、その場で合掌してご先祖の御魂を迎えます。さらにこれらの火を精霊棚の提灯に移して家族揃ってお参りします。またこの期間、精霊を迎え慰めるためにされたものが「盆踊り」の起こりです。

送り盆
 心をこめてお迎えしたご先祖の御魂を十五日(場所によっては十六日)今度はあの世にお送りします。迎え火を焚いた同じ場所でおがらを積み重ねて送り火を焚きます。毎年八月十六日に京都でおこなわれる「大文字の送り火」などが有名です。
 その後精霊棚のお飾りやお供えをまとめて、お墓に参り、小さな舟形に乗せたり、真菰に包んで川に流す方法がとられていました。しかし、現在では持ち帰って各自で納める方法が主にとられています。

新盆
新盆(しんぼん:にいぼん、あらぼん、とも)
 四十九日の供養が終わって初めて迎えるお盆を新盆といいます。お盆はご先祖や故人の精霊をお迎えし慰めるという行事です。まだ一周忌の法要も済んでない時点でお迎えする訳ですから、故人への追慕の念も強く、飾り物やお供物も少し盛大になるようです。
 また特別に故人のお位牌を小さな机などに白布をかけ、お位牌を中心に香炉、花、ロウソクなどを配して、故人の好物などを供えます。また、高燈籠を立てたり、仏壇や廊下に白い盆提灯を飾ります。この飾りは普通の飾り付けよりも早く、一日から七日までに作るところが多く見受けられます。そして、亡くなられて四十九日を迎えない故人については、故人はそのまま祭壇にまつり、ご先祖の精霊棚とは合祀しません。通常の四十九日までの法要として行います。

精霊棚・棚経
 精霊棚(しょうりょうだな)はお盆の間、毎日懇ろに供養をします。朝昼晩、家族の食事の前にはまず精霊棚に供養をし、それから食事を始めましょう。期間中、ご先祖様に差しあげる食事を霊供膳(レイクゼン)といい、献立がはっきりと決められている地方もありますが、そこまで厳格にしなくても家族の食事の一部を供えたり、故人の好物を供えたりなさればよいでしょう。またお墓参りをしたり菩提寺で行われる盂蘭盆会の法要に参ることになります。お盆の期間中、菩提寺の和尚さんが来られ精霊棚の前でお経をあげて下さることを「お棚経(たなぎょう)」といいます。この習慣がある地域では、前もって打ち合わせておき、出来れば家族全員でお迎えし、一緒に仏前でお参りしましょう。
風が吹く 仏きたもう 気配なり               高浜虚子
もどる
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i