罵り合いを釈尊が割ったら、、、
私は受けとらない
 お釈迦さまは幼名をゴータマ・シッダールタとおっしゃり、今からおよそ二五〇〇年前のインドで、釈迦族のシュッドーダナ王とマーヤー妃の間にお生まれになりました。お城を出て六年間に及ぶ修行を続けられたお釈迦さまはついに悟りの境地へとのぼられたのでした。

 お釈迦さまが各地で仏教を説くようになると、それまで勢力を誇っていたバラモンと呼ばれるバラモン教の司祭までもが次々に仏教へ帰依するようになりました。このことは多くのバラモン達に衝撃を与え、ついにアッコーサカ・バーラドヴァージャというバラモンは我慢できなくなり竹林精舎に住むお釈迦さまの元へと出向きました。
そしてお釈迦さまに対しありったけの悪口雑言をあびせかけたのでした。

それに対してお釈迦さまは静かに語りかけました。

「バラモンよ、君のところに友人や親戚のものが、客としてやってくることがあるだろうか」
「ああ、もちろんあるとも」
「バラモンよ、君はそのときおいしい食べ物などで彼らをもてなすだろうか」
「そのとおりだ。時にはもてなすさ」
「バラモンよ、そのとき、彼らが食事を受けなければ、それは誰のものとなるだろうか」
「客人たちが食事を受けなければ、それは俺様のものになるに決まっている」
お釈迦さまは、怒ったバラモンのこのような言葉を聞いたのちに、次のように答えました。

「バラモンよ、このように君は私に罵詈雑言をあびせかけ非難しているが、私は君の罵詈雑言を受けとらない。だから、バラモンよ、悪口は君にもどり、悪口は君のものだ
「!」

 さらにお釈迦さまは次のような詩句を説かれました。

怒りなく 身心を制御し 正しく生活し 智慧をもって解脱し 
寂静となっているものに どうして怒りがおこってくるだろうか 
怒りにたいして怒りかえすことは さらによくないことだ
怒りにたいして怒りかえさないならば 二つの勝利がある
他人の怒っているのを知って自身を静めるものは 自分と他人の双方を益すからである


 これを聞いて、さすがのアッコーサカも心を打たれ、出家してお釈迦さまの弟子になったということです。

 喧嘩両成敗とは昔の人はよくいったものです。相手を言葉で傷つける人は実は自分自身をも傷つけ、相手に優しさを持って接する人は、自分自身をも清らかな心持ちにするのです。「罵り」を「罵り合い」にしてしまうのは実は自分が責任を負うところなのでした。

 さあ、どんな冷たい言葉や表情も、春風のような爽やかな挨拶と笑顔で吹き飛ばしましょう。
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